偶然の出会いを大切に!
大学時代、憲法のゼミで一緒になった同級生の女子に、我が校バレー部のエースアタッカーがいた。
ボクシング部・重量級のエースである俺の頭を、まるでバレーボールのように引っ叩く暴力的な女だったが、身長183Cmとスーパーモデル並みのプロポーションを持ち、顔は女優も脱帽して通り過ぎるほどの美人だった。
しかし、その美し過ぎる美貌と、身長のためなのか、男関係には全く話としては登場しない女子だった。
俺も、180Cmと決して身長は低いわけではなかったが、彼女と並ぶと何となく引け目を感じたものだった。
卒業をして三年経ったある日の事だった。
給料日を二日過ぎて、俺の懐は暖かく、半年かけて攻略した得意先に対しての営業が成功して、一人で祝杯をあげることにした。
新橋のガード下から始めて、三軒目に銀座のBARに入った。
ここのバーテンダーは、結構凄いのだ。彼が作ってくれる、様々なカクテルはどれも本当に旨い。中でも、超ポピュラーなマティーニは絶品と言える。俺の酔っ払い具合をみて、調整してくれるから、いつだって絶品のマティーニを飲める訳だ。
この日も俺はマティーニを飲みにこのBARに来たわけ。
そして五盃めのマティーニを飲み始めたときにコウベルの音がして、客が入ってきた。
客が入ってくる事自体は、決して珍しいことではないので、俺は入口の方を見ることをしなかった。しかし、背中に視線を感じたことは確かだった。
そして「ゴリチャン、お久〜」と言う声とともに、俺の頭頂部に強烈な一撃が来た。懐かしい声と、懐かしい衝撃。
俺は首を竦めながらふり返ると、美しい笑顔が俺を見下ろしていた。
あのバレー部の彼女だった。
なんでお前がこの店にいるんだよと、俺は半分本気で怒りながら詰問したら、彼女も半常連で今まであわなかった事が不思議なほどと言うことが判ってお互いに驚いた。
そして俺が「人の頭を引っ叩いて、人違いだったらどうするつもりだったんだ」と訊くと、「絶対にゴリだって言う自信があったから、引っ叩いたの。大学時代から叩きなれてる頭の形とバレーボールの大きさは絶対に忘れないからね」と言う。
俺は呆れて「まあいいや、ボクサーを引っ叩く奴はお前ぐらいだったからな」と言い、隣に座らせたわけ。
その後、昔話に花が咲き、お互いに翌日が休みだったせいもあって、終電の時間を過ぎてもまだ飲み続けた。
そして、朝目覚めると、彼女は俺の隣で寝ていたって言う訳。
大学時代から決して嫌いな女ではなかったが、高値の花と言うのか、ちょっと手を出せなかった彼女が、今、俺の部屋で俺の隣に寝ている。
いつ見ても美しいこの顔、そして最高に綺麗なプロポーション。
なんで俺が手に入れることができたのか、全くの偶然なのかな。
この偶然を大切にして、彼女との未来を作って行こう、彼女の寝顔を見て俺は思った。
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